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■講演会

西日本総合展示場新館会議室

ごあいさつ・中岡 司(北九州市企画・学術振興局局長)
北九州市は、一九〇一年に日本最初の近代製鉄所が操業したことが近代工業の発祥の地である所以である。鉄工業・化学等の重工業の工場が立地し、日本の四大工業地帯の一つとして、日本の産業を支えてきた。しかし、昭和三〇年代に入りエネルギー革命、その後の産業構造の転換、あるいはアジア経済の台頭もあって、本市の産業拠点としての唯一性は変化していった。そこで、新たな発展の方向性を模索していこうというわけである。

たとえば、アメリカ・ピッツバークはUSスチールという鉄工所が無くなると、すぐにその産業自体が無くなり、別の形で発展していったが、我が国には従来、企業文化として終身雇用制という伝統があり、たとえば繊維産業は、優秀な人材というポテンシャルをもっているから繊維不況になってもこそバイオテクノロジーという新たな分野を開拓していけたのである。そういう意味においても北九州市は技術ポテンシャルは非常に強くもっている。未だなお、工業生産額一兆九千億円、これは福岡市や広島市を凌駕する額である。

そこで、産業構造の転換があったが、技術やノウハウ、人材を生かすことを機軸として、今後二一世紀における産業的な都市として再生を目指すことを考えている。
そこで一番大事になるのは学術研究である。アメリカでも大企業は中央研究所の機能をどんどんブランチにもっていったり、従来中央研究所が担ってきた基礎研究を大学の方に期待する状況がある。一方、アメリカの大学は財務自体が、学的な資金をオーバーヘッドで賄う管理計画に回す構造であり、そういう両方の利害関係が一致して、産学連携がどんどん進んでいる。こういう状況は今後、日本においても進んでいくと考えられる。WIPO(世界知的所有権機関の政府間組織)は一九八〇年代に、特許を大学の持ち物にし、その特許をもって大学運営をすることを認めたことでどんどん産学連携が進む状況がでてきた。

そこで北九州市は新大学構想と呼んだ、さまざまな大学・研究所を集中させた学研都市をつくり、そこに九州工業大学大学院、北九州大学国際環境工学部、早稲田大学理工学総合研究センターに中心になっていただいた。また、二〇〇三年には早稲田大学大学院も進出することが本年二月に発表された。現在二〇〇一年のキャンパスオープンに向けて、着々と準備が進んでいる状況である。

今回のシンポジウムについては、学研都市内に九州理工学総合研究センターを開設するにあたり、理工学総合研究センターおよび財団法人西日本産業貿易見本市協会との共催で二一世紀の環境調和型都市を目指す北九州市の都市づくりについて、景観や都市環境の専門家の皆様方にお集まりいただき、大いに議論をたたかわせていただく主旨である。特に北九州市は「エコタウン」、環境未来都市を掲げており、環境に配慮した景観づくりといった方向性が明らかにされることを期待しているものである。

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