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第20回 村野藤吾in八幡】

 記念すべき第20回の建築散歩は、現在八幡に残っている日本を代表する建築家村野藤吾の3つの作品を散見学しました。実は東京からとある雑誌の編集者の方が写真を撮りに来たので同行したレポートです。
 八幡には他にも村野作品である平和ビル第1棟と八万湯?があったのですが、平和ビル第1棟は既に取り壊されています。また、最近では早稲田大学の文学部校舎についても取り壊しが決まったとのことです。
 見た感じはどの建物も全く異なっているので、とても同じ人が作ったとは思えません。しかし外壁や手すりの微妙な曲線などをディティールを見ると、村野流のこだわりが見えてきます。3つともすぐ近くにあるので、是非直接確かめてみてください。



 12月12日、今年最後の建築散歩は、出発が遅くなった上に雨が降りそうで降らない天気と、写真を撮るには余りよい条件ではありませんでした。実はこの3作品とも、第11回で既に見学済みですが、今回はより詳細に見学することが出来ました。

 まずは八幡市民会館です。こちらの外観は一見普通の建物に見えますが、建物上部の緩やかな曲線などに村野っぽさが現れています。


     皿倉山をバックにした八幡市民会館

 また、特徴が最も現れているのは階段室だと思います。手すり木部の微妙な曲線や色遣いに特徴が良く出ていると思います。

 
 村野流の特徴が見られる階段室    柱の赤と奥の開口部が特徴的

 また今回は、ホールの中も見せていただきました。写真が暗くてよく分からないと思いますが、2階席の下部の仕上げに特徴がある程度で、基本的には他のホールとの違いは見られませんでした。

 
   ステージはかなり大きい         落ち着いた色合いの座席

 さらに、会館の向かって左手にある増築箇所(美術展示室)も見せていただきました。こちらも確かに村野風のディティールが見られますが、特に注目するほどのものは見あたりません。

 
      展示室内部            展示室外部から見たの横連窓

 他の村野藤吾の作品である北九州市立八幡図書館とひびきの信用金庫本店は会館からすぐ近くにあるため、会館から見渡すことが出来ます。

 
       八幡図書館             ひびきの信用金庫本店

 図書館も信用金庫本店も今回時間が無くて内部を見る時間がありませんでしたが、ひびきの信用金庫は後日改めて見学させていただくことが出来ましたので、以下はその時撮った写真を載せます。

 
    微妙な曲線が村野流?          隅部開口部の内部

 建物のデザイン自体は私の趣味ではないのですが、建物というより軍艦のような形は強く印象に残ります。


   見れば見るほど戦艦ヤ○トに見えませんか?

 建物の中も一部見せていただいたのですが、内部は市民会館や図書館ほど特徴が見あたりませんでした。やはりこの建物の最も特徴が現れているのは窓のサッシだと思います。このサッシは特注と聞きましたが、もちろんこんな特徴的なサッシを他に見たことありません。

 
  サッシ下部は換気用の開口         建物裏からの見上げ

 最後に、今回信用金庫本店を見学させていただいた際に、竣工当時の景品として配布していた貯金箱をいただきました。箱の横にはちゃんと「昭和46年6月竣工 1/400模型」と書いてあります。これはかなりレアなものでは???


    貯金箱いただきました

 最後に、村野藤吾の代表作である宇部市民館や世界平和記念聖堂に比べると、八幡に残っている作品はあまり力が入っていないような気がして少し残念です。しかし、地元八幡で育った建築家の作品ですし、どの建物もとても丁寧に管理されていますので、これ以上村野作品が取り壊されないことを願います。
 
                                       (080215 つつみ)



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