【第11回 鉄の街八幡】
第11回目の「九州周遊建築散歩」は、北九州市の中央に位置するJR八幡駅から枝光駅周辺を中心に散策します。
八幡は1901年の新日鐵八幡製鉄所の操業とともに鉄の街として発展してきました。新日鐵が撤退した現在では昔の活気はありませんが、著名な建築家の建物は残っています。
今回、お勧めの「いのちのたび博物館」を中心に探索したいと思います。散歩のつもりで気楽に参加してみませんか?
(ポスターより抜粋:ポスターはこちらから
9月24日。どんよりした天気ですが、6名で元気にスタートしました。
まず、枝光駅近くの安田工業八幡工場へ。
こちらの工場は日本の最初の建築家辰野金吾の設計で、明治30年(1897)に日本で初めて洋釘を製造した歴史のある工場です。かなり老朽化が進んでいますが、レンガ造りで雰囲気があります。工場では釘の生産ヶ行われているところも見学できたうえに、竣工当時の古い写真を見せていただいたりや安田工業の創設者による釘の歴史本をいただくなど、充実した見学となりました。
工場外観 同内観
次に向かったところが、旧官営製鉄所東田第一高炉です。
ここはあの有名な官営八幡製鉄所の第一号の高炉(当時の第一高炉はとりこわされていますが)であり、「1901」という年号が示すとおり、20世紀初頭に日本の産業を背負っていた製鉄所の跡です。しかし残念ながら、今ではスペースワールドをはじめ周りに当時の面影は残っていません。
東田第一高炉 「1901」の表示
そして高炉すぐ隣にあるいのちのたび博物館に移動します。この博物館は個人的に気に入っている施設で、皆さんにもお勧めです。
中には大小さまざまな化石を中心に展示され、恐竜の繁栄から絶滅までを体験?できるなど、とても面白い博物館だと思います。入場料も安いので、子供と行くのに最適な場所だと思います。
博物館外観 恐竜のお出迎え
そこから大谷会館へ移動します。
こちらも新日鐵八幡製鉄所の保養施設だったところですが、今では別会社が運営しています。アールデコ調の建物は外観よりも内観がよく、休憩をかねて1階の喫茶店でお茶しました。なお、こちらの建物も支配人の方に館内を案内していただくことができました。
大谷会館外観 同内部のしつらえ
次に八幡市民会館に向かいます。
こちらは隣にある図書館と同じく村野藤吾の設計した建物であり、艶がある屋根のアールが特徴的です。個々に到着したときには既に5時を回っていたので閉まっていましたが、事務所にお願いして見学させていただきました。一見すると普通の建物のようですが、階段室をはじめ村野藤吾らしい造作が随所に見られます。
市民会館外観 大ホールのホワイエ
その後隣の図書館と福岡ひびきの信用金庫の見学をしました。(福岡ひびきの信用金庫は外観を見るだけでしたが・・・)
どちらも村野藤吾ですが、外観はあまり好きではありません。しかし、図書館の階段の手すりなどには村野藤吾らしいディテールが光っています。
図書館外観 信用金庫外観
それにしても、村野藤吾の作品がこれだけ集中しているのは経済力が背景にあったわけなのですが、今では当時の繁栄の面影はあまり感じられず、すこし寂しい気がします。
11回目の建築散歩はこれで終わりですが、この後はいつもの通り飲み会へと向かいます。皆さんどうもお疲れ様でした。
(つつみ)
前回のレポートへ 次回のレポートへ
レポート最初のページへ
|