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第16回 門司赤煉瓦プレイス】

 久しぶりの再開となった建築散歩16回目は、北九州の新しい観光スポット門司赤煉瓦プレイスを散策しました。この日は、門司赤煉瓦プレイスの複数の建物が国登録有形文化認定されたのを記念して、日頃非公開となっている醸造棟が一般公開されたので見学してきました。

 今回は醸造棟の内部を中心に、一般の人は見学できない箇所についても写真を取れましたので、貴重な?建築散歩になりました。


 11月10日。とても天気が良く、日中は上着がいらないぐらいの陽気になりました。イベントには絶好の天気です。

 ここ門司赤煉瓦プレイスは、1912年九州初のビール会社として創立、 工場が完成した翌年より醸造を開始し「サクラビール」を販売した帝国麦酒門司工場跡です。後に日本麦酒(現サッポロビール)配下となり、2000年には工場が日田に移転したため、廃墟と化していました。 しかし、大里本町土地区画整理事業の一環で、建物は記念施設として保存・整備され、 2005年に門司赤煉瓦プレイスとしてオープンし(運営はNPO法人門司赤煉瓦倶楽部)、 現在は門司麦酒煉瓦館(旧本館事務所)、旧醸造棟、赤煉瓦物産館(旧組合棟)、 赤煉瓦交流館(旧倉庫棟)で構成されています。なお、 2007年には国登録有形文化財として登録されました。

 赤煉瓦プレイスの詳細についてはこちら↓をご覧ください。
 http://mojirenga.navitown.com/

 
        赤煉瓦交流館              門司麦酒煉瓦館

 
   今回一般公開された醸造棟        門司駅方面から見た全景

 実は5年ほど前、この施設が廃墟となっていた時期に、私は199号線を自転車で走りながら「いい建物だな」と思っていましたが、現在ではお洒落な観光スポットになっています。特に、醸造棟の奥という目立たない位置にありますが、BRICKHALLという喫茶店がおすすめです。

 前置きが長くなりましたが、日頃公開されていない建物の内部、それも煉瓦造の工場となると、興奮してしまいます(廃墟マニアにはたまらないですね)。・・・ということで、「一般公開のお手伝い」という名目で、一般の人は立入禁止の場所まで見学させていただきました。

 醸造棟の中は、所々に残されているビール製造用の設備や当時の面影が残っている事務所、それに煉瓦造の重厚な質感などが、廃墟の建物が持つ独特のノスタルジーと何ともいえない寂しさを十二分に醸し出しています。

 なんだか、欧州の古い教会の中にいるような気分にさえなります。

 ここは日本?(奥は麦酒煉瓦館)

 もちろん醸造棟の内部の主役は麦酒製造用の施設です。これらの施設は何百年(少し大げさ)も前からこのままの姿で放置されていたように見えますが、ついこの前(2000年)まで現役だったと聞くとびっくりしてしまいます。でも、ここで造られたサクラビールを是非飲んでみたかったですね。

 
  至る所にタンクが残っています           麦汁濾過器

    
     見上げると木製の梁        当時はこのタンクにも麦酒が・・・

 そして最後に今回の一般公開でも立入禁止区域の最上階と1Fを見せてもらいました。実は、この非公開の箇所にも興味深いものがたくさんありますが、諸事情から一般の方は別の機会に・・・ということになったそうです。


  ここにも様々な形をしたタンクが    鉄骨で補強した跡が見えます

 最後に、この醸造棟は国登録有形文化財に登録はされたものの、今後も積極的な保存活動を続けていかないと取り壊されてしまう可能性が高いということでした。構造的な安全上の問題などから一般公開できないのが現状ですが、何か有効な利用方法を見つけられなければ維持管理費を捻出できません。ここ門司赤煉瓦プレイスに限らず、全国にまだ残っている産業遺産も、保存するには維持管理経費など様々な問題を解決できなければ取り壊されてしまいます。是非、産業遺産の良い活用方法があれば教えてください。

                                           (つつみ)


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