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第17回 長崎市内】

 今回の建築散歩は、私たちの共通の友人の結婚式が長崎の大浦天主堂で行われたのに合わせ、限られた時間の中で長崎市内観光(日帰り)を行ってきました。
 長崎は(市内だけでも)見るべき建物が多く存在していますが、 その中でも私が好きな日本二十六聖人記念聖堂を中心にレポートしたいと思います。この日本二十六聖人殉教地は潜伏キリシタンの歴史を語る上で外せない場所でもありますし、長崎駅から歩いてすぐという絶好の立地なので、長崎観光の際には是非訪れてみてください。


 11月17日のこの日も、とても天気が良くて暖かく、建築散歩日和でした。

 今回のメインは一応結婚式なので、JR長崎駅スタート(もちろん飲むため)の建築散歩になりました。式まで少し時間がありますのでどこを見ようかと言う話になりましたが、やはりすぐ駅前の丘の上にある日本二十六聖人記念聖堂は外せません。ということで、駅から歩いていくことになりました。


  長崎名物の坂の上に見えます

 この聖堂の設計は、早稲田大学教授だった今井兼次(隣の資料館も)です。今井はスペインのバルセロナにあるサクラダファミリア(聖家族教会)で有名な建築家ガウディを日本に紹介した建築科ですが、その影響を受けたと考えられる今井の独特な造形は一度見たら忘れられません。


         2本の塔が印象的な聖堂

 今井の建築は、全体の造形も特徴的ですが、やはり細部(ディティール)がとても面白いのです。これはガウディの建築でも当てはまりますが、細部に対する手作業の密度の濃さは、執念に近いものがあります。欧米の古い教会を見ていて感じるエネルギーと同じものを感じます。

 ちなみに私は、「建築の善し悪しは、造形うんぬんよりそこに投入されているエネルギーの量で決まる」と思っていますので、その点から観てもこの建築はすばらしいと思います。

 
       司祭専用入口            一般入口ももちろん特徴的

 
     入口のレリーフ                取手も凝ってます


         教会の祭壇とステンドグラス

 静かな教会内で興奮している気持ちを抑えて、隣の資料館に移動します。

 ご存じの通り、豊臣秀吉から徳川家康の時代にかけてキリスト教の弾圧が行われましたが、長崎はその中心舞台であり、最も激しく迫害が行われた地です。1597年、豊臣秀吉の命令により6名の外国人宣教師と20名の日本人信徒が西坂の丘で十字架にかけられ、槍で突かれて処刑されました。 1862年に26人の殉教者は聖人の列に加えられ、3年後に大浦天守堂が西坂の丘に向けて建てられたという歴史があります。

 この暗く、そして重い過去については、遠藤周作の「沈黙」を始め様々な小説・文献がありますし、この資料館でも是非確認してほしいと思います。


       資料館側面には大きな壁画

 
 日本二十六聖人の殉教碑            資料館の正面ルーバー

 
       庇だって特徴的              入口内正面


       階段側面

 さて、次は式がある大浦天主堂の近くで食事をするため、これも長崎名物の路面電車で移動することになりましたが、間違えて諏訪神社の方に向かう電車に乗ってしまったので、「じゃ見ときましょう」ということになり、諏訪神社へ。

 
      立派で長い階段            753のお参りで賑わう

 そして、今度は間違えずに大浦天主堂へ向かいます。さすが、日本有数の観光地だけあって人がどんどん路面電車に乗ってきます。


      レトロな運転席

 式の前に腹ごしらえをして、いざ大浦天主堂へ。

 ここは現存する日本最古の木造ゴシック様式の教会で、教会として唯一国宝建築物に指定されています。もちろん外から見てもその姿はすばらしいのですが、教会内の白い壁と濃茶の木製リブ・ヴォールトで構成されている建物上部の造りは見事で、その厳かな雰囲気はさすがに普通の建物とは違います。なお、普段内部は撮影禁止ですが、結婚式ということで撮影することが出来ました。

・・・ここで結婚式を挙げるとはYご夫妻、センスいいですね。末永くお幸せに。

 
 大浦天主堂外観     天主堂入口にあるマリア像


  美しい木製リブ・ヴォールト(頭写ってます・・・)

 最後に、式と披露宴の間に少し時間があったので、隣のグラバー園(南山手洋風建物群)へ行くことにしました。

 ここは長崎でも最も有名な観光地ですので皆さんよくご存じだと思いますが、当時からの洋館や市中から移築復元された由緒ある洋館が点在し、ありし日のおもかげを今に伝えています。中でもグラバー邸(重要文化財)は、1863年に建てられた日本で最も古い木造洋風建築物です。



   旧三菱第2ドッグハウス

 
              ドッグハウスから見た景色 

 
    正面玄関を設けない独特のバンガロー風様式を残すグラバー邸

 この後、披露宴に遅刻しそうになったので文字通り駆け込み、楽しい宴が終わるやいなや今度は電車の時間に間に合わなくなりそうになってタクシーに駆け込み、やっとのことで長崎を後にしました。


 とても楽しい1日でしたが、本当はもっとゆっくりと長崎を見て回りたいですね。次回はYさん、長崎の案内よろしくお願いします。
 
                                       (080208 つつみ)



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