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第18回 秋田商会と門司・下関】

 今回の建築散歩は、下関にある秋田商会が8年ぶりに一般公開すると聞き、「秋田商会ファンとしては外すわけにはいかない」ということで、見学会に参加してきました。ついでに、門司・下関をぶらぶら散策してきましたのでレポートします。
 門司・下関は既に第8回にも散歩していますが、前回行っていないJR下関駅の近くも散策していますので、前回と合わせて門司・下関観光の参考にしていただければと思います。
 


 11月24日、この日もとても天気が良い建築散歩日和でした。このところ風は少し冷たいものの天気がずっと良いので、積極的に散歩しています。

 さて、秋田商会の一般公開には大勢の人が来るに違いない、ということで10時会場に合わせて急いで門司港から船に乗り、下関に向かいます。

 
     船から見た関門大橋          同じく船から見た海響館

 下関で船を下りれば、正面に1915に竣工した旧秋田商会ビル(以下秋田商会)の勇姿?を望むことができます。門司港・下関の中でも最も私が好きな建物ですが、あの和と洋が微妙なバランスで混じり合っている独特の趣がなんとも味のある建物です。

 秋田商会の左手に見える建物は下関に現存する最も古い洋風建築物である下関南部町郵便局ですが、秋田商会の隣にあると影が薄いと思いませんか?(実は内部をまだ見たことがないので、今度行ってみたいと思います。)

 
    いつ見ても良い男、じゃなくて良い建物です

 恐らく秋田商会を知らない人が外から見ただけでは、ただの洋風建築物だとしか思わないでしょう。しかし、この建物は日本でも最古級の鉄筋コンクリート造であり、1階事務所、2・3階住居、そして屋上には当時としてはきわめて珍しい屋上庭園(茶室付き)が造られている、とても珍しい建物なのです。1階は観光案内所、2・3階も一般公開しているので、下関に行ったら欠かさずに見ていただきたいと思います。

 
 屋上に樹木と茶室の屋根が見える   左は和風、右は洋風の廊下    

 3階の味のある周り階段を上ると屋上ですが、福岡西方沖地震の影響で建物各所にヒビが見られるなど安全上問題があるため、通常はこの階段さえ上れず屋上の様子がうかがえません。しかし今回はこの階段を上って、あの有名な屋上が見学できました。

 
  この周り階段を上ると屋上へ    階段を上ると綺麗なタイルが見えます

 屋上に上がると、正面に茶室、その周りには日本庭園が広がります。当時は川も流れていたということです。世界でも最古級の屋上庭園、しかも和風庭園が下関の商社ビルの上にあるなんて、あのコルビジェもびっくりだと思います。安全上問題が多いとは思いますが、是非この茶室でゆっくりお茶をいただきけるような整備をしてほしいと思います。

 
  洋館の屋上に入母屋の茶室      ビルの屋上とは思えない庭園

 秋田商会を満喫した後は、唐戸市場に向かいます。途中には旧下関英国領事館がありますが、今回はパスして唐戸市場で食事を取ることにしました。

 
    旧下関英国領事館       多くの人が唐戸市場に向かっています

 唐戸市場はPC(プレストレスト・コンクリート)と屋上の芝生が有名な建物ですが、その特徴がわかる天井と屋上の写真は第8回のレポートに載せているので、今回写真は省略しますが、実際に行ってその造形を確認してください。


     唐戸市場の屋上から関門大橋を望む

 しっかり腹ごしらえをして、歩いてJR下関駅に向かいました。あまりJR下関方面に行くことがないので、今まで良い建物がこれほど沢山あるとは思いませんでした。当時の下関の繁栄が容易に想像できます。

 しかし、門司港に比べても使われていない建物が多く、このままでは劣化が進んでしまうことが予想されます。例えば島津海運下関支店はレストランとして改修するのが最適だと思いますが、今後出来るだけ早く活用してほしいと思います。


      旧山陽ホテル

 
      島津海運下関支店             山口銀行別館

 その後、そのまま唐戸まで歩いて戻り、船に乗って門司港に戻ってきました。

 こちらは、旧JR九州第一庁舎の保存や西海岸1号上屋の整備が決まるなど、近代遺産が観光資源としての評価されつつあります。下関にある建物も十分観光資源としての可能性があると思いますので、下関市は頑張って保存・整備してほしいと思います。

 
    門司港駅(重要文化財)           旧JR九州第一庁舎
 
   門司三井倶楽部(重要文化財)          旧大阪商船


 わたせせいぞうの絵が画かれている西海岸1号上屋

 この地域は他の地域と比べて建物の数・質とも上回っていますし、喫茶店やお土産なども充実していますので、観光するにはもってこいの場所だと思います。このレポートに載せた建物のなかで知らないものがあったら、今度の休日にでも実際に行ってみてはいかがでしょうか。
 
                                       (080212 つつみ)



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