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【第22回 大阪梅田〜本町 その2】
今回は前回に引き続き、九州ではなく大阪の中心部梅田〜本町に残っている近代建築を中心に散策します。
前回、梅田〜本町を何気なく歩いていると、あの「大阪倶楽部」と「大阪ガスビル」に出会ってしまいました。そこで、「これはいかん」と思って再度付近の近代建築を調べてみると、あるわあるわ、とても暇つぶしで見学できるような数ではありませんでした。そこで、急遽建築散歩となったわけです。
※今回は、数が多すぎるので、建物の情報のみになることをご了承下さい。
まず、大阪の近代建築で外すことが出来ない「綿業会館」へ。大阪倶楽部を見た後にはとてもシンプルに見える建物ですが、建築家渡辺節の代表作でもあるこの建物は実はとても手が込んでいます。しかし、この建物の本性は外観では分かりません。建物の内部がすごいのです。
端整な顔立ちをしている綿業会館
整然と並ぶ縦窓 重厚な玄関
実は後日中を見せていただくことが出来たのですが、残念ながら内部の写真は「ご遠慮下さい」と言われましたのでお見せすることが出来ません。しかし、当時の綿業の繁栄を十二分に感じられるお金のかけ方と各所のディティール、そしてそれをまとめ上げた力量には、ただただ感激するばかりでした。
つぎは小川香料。小さなビルですが、そのデザインのお陰で十分存在感があります。
周りに比べ小さなビル 立派なファサード
次は辰野片岡建築事務所の旧大阪教育生命保険ビルとその隣にある浪花教会です。この辺りはまだ至る所に古い建物が残っている反面、新しいビルの建設ラッシュで古い建物が次々と壊されているようです。今後大幅に景色が変わるものと思われます。
旧大阪教育生命保険ビル全景 玄関見上げ
浪花教会の並び 教会正面
次は旧大阪農工銀行とその斜め向かいにある愛珠幼稚園です。農工銀行のディティールもすばらしいですが、なんと言っても愛珠幼稚園の立派なお屋敷のような木造建築には驚かされます。使いづらいところはあると思いますが、こんな建物で育つ幼稚園性は幸せですね。
旧大阪農工銀行全景 玄関正面
愛珠幼稚園正門 愛珠幼稚園全景
その後向かったのは、北浜駅・堺筋周辺。この周辺にも、近代建築が数多く残っています。とりあえずということで、北浜レトロビル、旧報徳銀行大阪支店、高麗橋野村ビルディング、生駒ビルディングとチェックします。
まず、北浜レトロビル。大阪証券取引所のすぐ目の前にあります。現在、紅茶専門店になっていますので、休憩をかねて中に入りましたが、女性だらけでした。
証券取引所の奥に小さく見えます レトロビル正面
つぎは旧報徳銀行大阪支店。1階はお洒落なお菓子屋さん、最上階はギャラリーがあるとのこと。一度取り壊しの危機があったそうですが、現在は貸しビルとして現役ばりばりです。
旧報徳銀行大阪支店 最上階はギャラリー
さらに、高麗橋野村ビルディング。ここにも安井武雄の作品が。この作品は、特に入口の竹の上にある月のマークが印象的ですが、1階は喫茶店とレストランが入っていることからも、今も市民に親しまれて使用されているようです。
高麗橋野村ビルディング こちらは安井武雄設計
そして生駒ビルディング。生駒時計店の自社ビルですが、大阪にきて一番思うことは、「大阪商人は建物にお金をかけている」と言うことです。結局、いい建物が歴史的な価値を生み、長寿命化になることを痛感します。
生駒ビルディング 生駒時計店の商標「駒型に生」
今度は、ダイビル(旧大阪ビルディング)に移ります。
ダイビルも取り壊しの可能性が高く、日本建築学会から保存要請などが行われている状態です(ちなみに、新ダイビルも同様の動きがあります)。こちらは、綿業会館を設計した渡辺節事務所の代表作になります。
ダイビル(旧大阪ビルディング)全景
玄関上部には彫像装飾を冠したロマネスク風の半円アーチを置き、 その左右5スパンに全面に浮き彫り装飾を付した付け柱(ピラスター)、 化粧梁を配するなど華麗な意匠を備えています。
玄関正面 玄関内部
そして最後に、梅田駅前には梅田換気塔(村野藤吾)と大阪中央郵便局(吉田鉄郎)などがあります。もう疲れ果てて、きちんと見る気力がありませんでした。
木の上に換気塔が見える 大阪中央郵便局(こちらも取壊しの危機が)
じつは、まだいくつか見たところがありましたが、十分大阪の近代建築のすごさを伝えることが出来たと思います。是非皆さんも時間を作って大阪見学をしてみて下さい。
(080407 つつみ)
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