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【第22回 大阪梅田〜本町 その1】
番外編3回目は、九州ではなく大阪の中心部梅田〜本町に残っている近代建築を中心に散策します。大阪商人の中心街は、やはりただ者ではありません。この地下鉄で2駅間という短い距離に、あまりにも濃すぎる建物がゴロゴロしていました。(あまりにも多いので、今回はその1とその2に分けました。)
是非、大阪に行ったときは街を歩いてみてください。北九州とはレベルが違うすばらしい建物に出会えると思います。
2月中頃の大阪は、最初はとてもいい天気でした。でも今回は、建築散歩ではなく仕事のために大阪にやってきた・・・はずでした。
まずは大阪市役所。今回は仕事で市役所に用事があったため、この頃までは特に建築散歩を意識していませんでした。しかし、もちろん市役所の向かい側にある日本銀行大阪支店と市役所の裏にある中之島図書館はしっかり押さえています。
大阪市役所 日本銀行大阪支店
中之島図書館(一部)
その後、ホテルが梅田近くだったため、「そういえば弁護士開館が近くにあったな」と思い散策開始。中之島図書館の隣にある中之島公会堂経由で弁護士会館に向かいます。
中之島公会堂
大阪弁護士会館 柱の細さと奥の煉瓦積が印象的
その後は近くをぶらぶらしていると、名もない小さなビルに目がいく。作者不明ながらディティールがしっかりしているため、「さすが大阪だな、お金のかけ方が違う」と思いながらホテルに向かう。この日はこれだけだったのに・・・
次の日、時間に少し余裕があったため、梅田〜元町間をあることに。これが、この後の運命を決定的に変えてしまった。とりあえず大阪はよく分からないので、御堂筋を南下することに。すると、ビルの谷間にモダンな薫りが。
曾根崎変電所 変電所側面
この曾根崎変電所でスイッチが入ってしまいました。そのまま南下するだけでは面白くないので、市役所から西へ移動すると、朝日新聞のビルが。そこで方向を南に変え、以前から気になっていた三井住友のビルへ。
朝日新聞ビル 住友ビルヂング
そしてその裏の少し細い道をどんどん南下します。少し歩くと、左手に古い建物を改装したレストランらしき建物が見えました。ここで休憩かな、とホッとして周りを見渡すと・・・
なんだかいい雰囲気 窓が特徴的
大阪倶楽部がいやでも目につきます。というよりも、外観の装飾のエネルギーに圧倒されました。一目惚れです。
大阪倶楽部全景
どうみても、一般の来館者お断りな雰囲気を漂わせていますが、そこは建築を専門としているので引き下がれません。無理を言って中を見せていただきました。個々では数カ所しか写真を載せられませんが、外観に負けず内観もディティールが豊かでとても手が込んでいます。また、これだけの表現が一堂に集まっているのに、バランスが絶妙で全体的にまとまった雰囲気を醸し出しています。
彫像がすばらしい 出窓だって負けてません
大阪の大空襲の際も、窓の外にある鉄のシャッター(現在は使用不可)のお陰で、内部はほとんど影響がなかったそうです。まあ、とにかくどこからどこまでも手抜きがありません。すばらしいの一言です。
会議室 休憩室
ビリヤード場 市松模様の床材
ちなみに、設計者の安井武雄は日本を代表する建築家であることは間違いありませんが、あまり知られていない建築家だと思います。私も名前は知っていましたが、実物を見たのは初めてでした。でも、一発で安井ファンになってしまいました。
しかし、(ご存じの方は想像できるかもしれませんが)実はこれだけでは終わらないのです。
大阪倶楽部を十分堪能し、先ほどのレストランでエスプレッソを1杯頼んで室内の撮影をお願いした後、再度本町に向かって進みます。
・・・でも、進みません。少し進んだところに、黒と白のコントラストがまぶしいオフィスビルが見えます。そう、安井武雄の代表作の1つである大阪ガスビルです。
裏からの眺め 白黒のタイルとアールが印象的
建物下部(と最上階)は横連窓 御堂筋側ファサード
大阪ガスビル全景(左の旧館と右の新館が接続されている)
写真を撮ろうと思って近づいたら警備員に怒られた(敷地内にはいるなとのこと、ケチ)ので、外周のみの写真となっていますが、私の中では日本で一番美しいオフィスビルとして記憶されました。デザインも古典様式を用いながらモダンという、これまだ微妙かつ優雅なバランスで構築されています。安井武雄すばらしい!!
その後も、いくつかの建物に引っかかりながらようやく本町に着いたのでした。もちろん、予定時間から大幅にオーバーしています。しかし、「これは本気で大阪は見るところがたくさんあるぞ」と思わせるのには十分すぎました。
・・・ここで、その1は終わりです。引き続きその2をお楽しみ下さい。
(080407 つつみ)
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