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第07回 久留米探索】

 第7回目の「九州周遊建築散歩」は、福岡県南部に位置する久留米市の町並みを見学したいと思います。
 久留米絣やゴム産業などの地場産業とともに発展した城下町久留米は、日本を代表する画家青木繁や建築家菊竹清訓を輩出するなど文化の発祥地でもあります。
 今回は、久留米の文化を感じながら建築を探索したいと思います。散歩のつもりで気楽に参加してみませんか?

(ポスターより抜粋:ポスターはこちらから


 

 11月22日晴天。西鉄久留米駅から第7回目の建築散歩は始まりました。今回の参加者はゲスト1人を含め4人でした。

 まずは久留米出身の日本を代表する建築家、菊竹清訓の設計した久留米市庁舎へ。久留米市が見渡せる最上階の展望台にのぼり、今日の散歩ルートを物色します。この日は晴天で久留米市全体を見渡すことが出来ました。建物自体はあまり期待はしていなかったのものの、さすが菊竹清訓と思わせるような随所に手が込んだ箇所もあり、これからの久留米ツアーへの期待を盛り上げてくれます。


市庁舎を見上げる                    同低層部

 次にお隣の久留米市民会館に向かいました。この建物も菊竹請訓の設計で、1960年代に黒川紀章らと組み世界の建築界にも強い影響を与えたメタボリズムの影響?を見ることが出来ます。このように隣に新旧の作品があるとその表現方法の違いがはっきりと現れて面白いですね。


   久留米市民会館全景           同2階エントランス 

 次はまたまたお隣の石橋迎賓館に向かいました。こちらはこじんまりとした建物で、基本的には見学不可なのですが、今回は無理やり敷地の中に入ることが出来ました。細部のディテールがきれいで、とてもよい建物だと思いますので、ぜひ一般に公開していただきたいと思います。


石橋迎賓館全景                   同正面   

 ここから市庁舎の方角に戻り、久留米の繁華街文化街の方へ向かいます。途中に市民図書館西分館(旧十七銀行)やみずほ銀行(旧富士銀行)を見ながらぐるぐると久留米の中心地を回っているうちにお腹が空きだしたので、おすすめの「茶の華庵」で食事にします。

 こちらは金文堂(本屋)本店を当時の面影を残したまま改修したレストランで、食事の後には改修していない3階を見せていただくことが出来ました。このように、使いにくいからといって歴史のある良い建物をただ壊すのではなく、転用して使っていくという事例が今後も増えてほしいと思います。


茶の華庵正面        雰囲気のある階段

 さて、お腹もいっぱいになったところで、今度は福岡の水源である筑後川のほうへ。川縁で気持ちのいい風に吹かれながら少し散歩をした後、水天宮に向かいます。こちらの水天宮は全国水天宮の総本宮とのことですが、お祭りの時以外は静かで散歩には最適だと思います。


 陸橋の下から筑後川を望む                  水天宮      

 その後久留米大学に移動し、見学。現在では老朽化が進んでいるため新しい建物に機能が移されていますが、歴史ある医学部の権威が感じられる建物です。


本部事務局(旧医学部校舎)    こちらも旧医学部校舎  

 そして、個人的に本日のメインである徳霊寺納骨堂へ。この納骨堂も菊竹清訓の作品で、数ある作品の中でもスカイハウスに並んで好きな作品です。(蛇足ですが、現在のスカイハウスの環境は残念ながらあまりよくないと思います。)

 この薄い屋根とたれ壁、床が宙に浮いているような造形は写真では何度も見ていましたが、改めて実物を見て感動しました。「重いコンクリートをこれだけ軽く見せるとは、やはり菊竹さんはすばらしい!」と思わせる建物で、興奮しながら写真を撮っていました。しかし、お寺の中の納骨堂なので、一般には開放していないとのこと。勝手に見学して申し訳ございませんでした。


    納骨堂正面                宙に浮いたたれ壁と床

 興奮冷めやらぬ中、次に最近出来たえーるピア久留米の見学をしたあと、最後の目的地である雪の聖母聖堂へ向かいます。聖マリア病院内にある天主堂は外壁はレンガですが、今村カトリック教会と同じように柱など内部は木を多用しており、とても幻想的な空間でした。


    えーるピア久留米正面          雪の聖母聖堂正面

 その後、もう1件パイプオルガンの練習をしている教会を見学しているうちにあたりが暗くなってきたので、久留米名物「やきとり」ならぬ「やきとん」の有名なお店で舌鼓。その後もう1件。そして最後は久留米ラーメンで締め・・・にはなりませんでしたが、いやはや思った以上に飲む、いや見るべき建物が多い久留米ツアーでした。皆様、本当にお疲れ様でした。

(つつみ)


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