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第06回 博多・天神】

 第6回目の「九州周遊建築散歩」は、福岡市内の建築で是非見ておきたい建築を幾つか取り上げて見学したいと思います。
 古くから港町・城下町として栄え、現在でも九州の中心都市である福岡市には、その歴史を伝える建築から最新の建築まで様々なスタイルの建築を見ることができます。
 今回は、博多駅・天神周辺を中心に建築の魅力を探ってみたいと思います。散歩のつもりで気楽に参加してみませんか?

(ポスターより抜粋:ポスターはこちらから


 

 11月3日、第6回の建築散歩は博多駅からのスタートとなりました。今回の参加者は北九州市立大学以外のお2人を含め総勢6人です。なお今回の写真は、カメラの設定が悪くてピンボケしている写真が多くなっています。

 まず、駅前にある福岡シティ銀行(10月1日から西日本シティ銀行)本店です。この赤いインド砂岩(一部御影石)が印象的な建物は、九州(大分県)出身の磯崎新の設計です。見学当日は中に入ることが出来ず回りをうろちょろするだけでしたが、白いエントランスの太い柱や突き出ている太い梁など特徴的なデザインはポストモダンと呼んでよいのかわかりませんが、全体的にはまとまっている良い建築だと思います。


福岡シティ銀行外観              意匠的な太い梁

 次に、大博通りを北に向かい、最近流行のジョン・ジャーディの商業ビルを横目に見ながら、博多小学校に到着。この小学校はシーラカンスK&Hの設計で、私の恩師の奥様も設計に参加していたので、是非行ってみたかった建物です。当然小学校も休みなので、建物の中には入れませんでしたが、敷地の中には入れましたので、外部通路をぐるぐると回っての見学になりました。ガラスを多用したオープンな小学校なので、中の様子がわかりやすく、十分建物の意図を感じることが出来ました。


博多小学校外観               グランド側からの眺め

 次に向かったのは博多リバレイン。こちらは有名ブランドショップやレストランが入っているのに人は少なく、お買い物や食事をするには穴場だとおもいます。5階にあるアトリウムガーデンではみんな好き勝手に楽しんでいました。

 リバレインからは川端商店街を抜けて櫛田神社へ。川端商店街は寂れていたイメージしかありませんでしたが、キャナルシティ博多のお陰で昔の活気が復活し、とてもよくなってたと思います。博多の総鎮守櫛田神社は、博多山笠のメインイベント追山の出発場所としても有名ですが、千数百年の歴史を持ち、商業地博多の歴史を物語る上で欠かせない神社です。


博多リバレインのアトリウムガーデン          櫛田神社          

 櫛田神社の隣にあるキャナルシティ博多に向かいました。商業施設の成功例としてよく取り上げられられるキャナルシティはジョン・ジャーディの設計で、その後全国で数多くのジョン・ジャーディーの商業施設が建設されることになりました。また、ウェット・デザインの噴水もジョン・ジャーディーの建物には欠かせません。あの水が出る先端に企業秘密があるとのこと。ここは何度も行っている人が多いので自由時間とし、各自で食事を取ることになりました。

 昼休み後は、那珂川をはさんで向かい側にあるホテル・イル・パラッツォへ。アルド・ロッシが設計、内装は内田繁が手がけるなど、世界的に活躍しているデザイナーが関わった建物です。凝ったデザインなので好き嫌いがありそうですが、抑えられた照明なので思ったより落ちきます。でも建物外部のメンテナンスと周辺の環境がいまいちなのが残念です。


那珂川から望むキャナルシティ博多        同イル・パラッツォ  

 次に旧福岡県公会堂貴賓館に向かいます。明治43年に来賓接待所を兼ねて建てられ、その後、県の公会堂などに転用されてきたそうです。数少ない明治時代のフレンチルネッサンスを基調とする木造公共建物として、国の重要文化財に指定されています。ここではボランティアの方の説明を聞きながらの見学を行いました。


旧福岡県公会堂貴賓館外観           同インテリア  

 その後、アクロス福岡へ。こちらはエミリオ・アンバースの設計となっています。この建物は階段状屋上庭園(ステップガ−デン)が印象的な建物です。この屋上庭園は無料で入れる事は知っていましたが、今回実際に上ってみることになりました。かなりの数の階段を上ることになりますが、上の広場で休憩をとってから次に向かいます。


     ステップガ−デン     
水鏡天満宮から見たアクロス福岡

 次は福岡出身でただ一人の総理大臣広田弘毅の直筆が残る鳥居が有名な水鏡天満宮(城山三郎の「落日燃ゆ」をぜひ読んでください。)を通り抜けて赤煉瓦文化館へ。この建物は辰野金吾の設計で、日本生命保険株式会社九州支店として明治42年に竣工しています。所謂辰野式の特徴が良く現れている建物で、昭和44年には国の重要文化財に指定 されています。さすがに疲れてきたので中の喫茶店でお茶をして、すこし休憩。


赤煉瓦文化館外観

 このあと女性3人が帰ってしまったため、建築散歩終了。と思いきや、ここから日本銀行九州支店を経由して親不(富)孝通りから赤坂まで回り、福岡銀行本店(黒川紀章)や イル・カセット(古谷誠章)を見るなど福岡の町を満喫しました。その後は中州まで歩いておいしい焼鳥屋さんで今回の建築散歩を締めました。

 いやはや、今回はとても充実した建築散歩となりました。参加した皆様、本当にお疲れ様でした。

 (つつみ)

 


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