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第05回 シネコンの裏側】

 第5回目の「九州周遊建築散歩」は、シネコン(シネマ・コンプレックス)の建物内部を探索します。
 複数のスクリーンを持つシネコンは1960年代にアメリカで誕生し、その後イギリスや日本でも衰退する映画産業の切り札として注目を浴び、各地で建設されてきました。
 今回は、普通入ることのできない舞台裏から、シネコンの成功の理由を考えてみたいと思います。散歩のつもりで気楽に参加してみませんか?

(ポスターより抜粋:ポスターはこちらから


 

 第五回建築散歩では、ワーナー・マイカル・シネマズ戸畑(以下、W.M.C戸畑)の劇場見学を行いました。今回は8人の参加となりました。(今回は撮影の許可が下りませんでしたので残念ながら写真はありません。)

 本日見学したW.M.C戸畑は、戸畑SATY4階、8スクリーンを備えた大型の劇場です。ワーナー・マイカル・シネマズは、ワーナーブロスとマイカルの合資会社で、日本におけるシネコン(Cinema Complex)のはしりです。各劇場ともフロアに足を踏み入れるとそこから映画の世界が広がる、といったコンセプトでデザインされているそうで、戸畑店でも、かなりでかいバックスバニーやトゥイーティーが元気に出迎えてくれます(W.M.C戸畑は、わたしのすきな劇場のひとつです)。

 また映写や音響のレベルの高さについてですが、これは世界規模で事業展開がなされていることから、ハード面での高度なノウハウを持っているため、非常に高い水準に保たれています。今回は、音響分野を研究している学生もいることから、主に音声再生システムとスピーカーに関する話をたくさん伺うことになりました。 詳細はこちら↓

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 音声再生システムは、アナログ信号によるものと、デジタル信号によるものとに大別できます。アナログ信号によるものについては、一般に、どの映画館でも完備しているのがモノラルおよびドルビーステレオAタイプで、その上位システムがドルビーSR(スペクトラル・レコーディング)です。またデジタル信号によるものはドルビーSR-D(スペクトラル・レコーディング・デジタル)やドルビーEX、DTS(デジタル・シアター・システム)、SDDS(ソニー・ダイナミック・デジタル・サウンド)などです。ワーナーではSR、SDDSを完備しており、さらにはTHX認定劇場を備えています。

 またスピーカーの配置ですが、センター、ライト、レフト・スピーカーがスクリーンの裏側に設置され、左右もしくは後方の壁面にサラウンド・スピーカー(1ch)が取り付けられています。また、ドルビーSR以上のシステムの場合は正面にサブ・ウーハーが、さらにSR-D、EXおよびDTSの場合はサラウンド・スピーカー(2ch)も設置されています。SDDSについては、さらに2系統のチャンネルを持つ合計8chのシステムとなっています。

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 なお、本日の見学所要時間は90分。 劇場の構造を、中から、外から、裏から、ご案内していただきました。

 もぎり台を通り、スクリーン毎に解説を受けました。収容人数や音響システムによって各スクリーンそれぞれに特徴があります。W.M.C戸畑にはTHX認定スクリーンがあり、ここが一番の見所でした。また劇場の建設においては、音響・防音設備の充実はもちろん、消防法との兼ね合いが最大の難関というだけあって、安全を確保するための非常灯、非常通路、バリアフリー対応のスロープ、車椅子スペースの設置等、細部にわたりさまざまな工夫が凝らしてありました。

 それから、特別に中に入れていただいた映写室ではフィルムを回す装置に、一同大興奮。映画1本あたり、5〜7本のフィルムを回すそうで、映写室には上映を待つフィルムたちが所狭しと出番を待っていました。あまりのはしゃぎっぷりに、上映スタートボタンを押させてくださるという粋な計らいが…!
 ※久保野MG(男前)、今井MG(男前)、ありがとうございました!!

 で、最後は、映画鑑賞。

 劇場の裏側を踏まえた映画鑑賞は、感慨もひとしお。な、はず。いやしかし。メリケン映画(たしか「SWAP」…駄作)の誘惑を断ち切って、どきどきしながらみた「座頭市」は素晴らしかった…よい劇場に、よい映画、そして、よい俳優(つーか。浅野忠信)。

 DVDもホームシアターも良いですが、映画はやっぱり劇場でしょう。みなさんも、ぜひ、映画館まで足を延ばしてみてください。

(おがわ)


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