1.聴力保護具の種類とその特徴


1.1.耳せん

耳せんは、外耳道に詰めものをして音の侵入を防ぐものである。 耳せんの最も重要なことは外耳道にぴったりと適合することである。したがって、多くの耳せんは外耳道の形に合せるために軟かく曲げやすい材料を用いている。耳せんの種類は、

(1)大きさを選べる耳せん
大、中、小の中から外耳道の大きさに合せて選択することができる。 耳せんが正しく適合していないとその遮音性能は著しく低下するので、大きさを選べる形式の耳せんは多く利用されている。

(2)万能サイズの耳せん
例えば三つの軟かいつばをもつ耳せんで、多くの人の耳に合わせることができる。

(3)変形可能な耳せん
通常安価な材料で作られている。 円筒状のものを押しつぶしてその先端を外耳道に挿入すればしばらくして外耳道の形にふくらむ。 遮音性能は普通の耳せんと同程度である。

(4)耳に合せて成型する耳せん
一般にシリコンゴムから作られ、実際に個人の外耳道の中で成型する。 硬化後は何回とりはずして挿入してもその性能に影響がない。

(5)キャップ形の耳せん
ヘッドバントの両端に円錐の軟いゴムキャップが付いていて、それで外耳道の入口を押えつける。 この形式の耳せんは、一つの寸法で耳の大多数に適合し、いつでも衛生的にとりはずしができる。



1.2.耳覆い(イヤマフ)

ヘッドバンドの両端にあるカップによって外耳を完全に覆うものである。保護カップは硬い材料で作られ、その内部には高周波音の共振を防ぐために吸音性の材料か充填してある。
耳覆いは、他の耳せんよりもしや音性能がよい。 また一般に一つのサイズで多くの人に適合し着脱が簡単に、かつ衛生的に行える。
したがって、これは作業者が高レべルの騒音環境にしばしば出入りするようなときによい。
耳覆いの欠点は、少しかさばる、価格が高い、耳が暑くなる傾向があるなどである。
耳覆いを他の安全具、例えぱ防じん眼鏡、安全帽と一緒に着用するときには音のもれが生じないような工夫が必要である。


[1.聴力保護具の種類とその特徴] [2.聴力保護具の選択]
[3.聴力保護具の遮音性能] [4.聴力保護具の影響]
[5.聴力保護に関する教育]

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