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【第01回 木屋瀬・飯塚】

 第1回目(6月28日)は、旧長崎街道の町並みが残る木屋瀬の散策と、飯塚に残る嘉穂劇場の見学を予定しています。
 実際に現地で建物を見にいくことで、当時の雰囲気や古い建築の良さを体感できると思います。散歩のつもりで気楽に参加してみませんか?

(ポスターより抜粋:ポスターはこちらから


 

 6月28日、第1回「九州周遊建築散歩」は、筑豊地方。嘉穂〜木屋瀬の旧長崎街道を散策しました。

 午前11時、ひびきの出発。遠賀川に差し掛かると、天気予報通り激しい雨に見舞われました。当初予定していた行程を改め、まずはお昼ごはん。嘉穂劇場右手の老舗、永六輔の絵看板を横目に暖簾をくぐると、カウンター越しに目に飛び込むのは、とり肉の山。「若鶏ランチ」は800円、「金持ちランチ」は、とり刺し付きで1,000円。


嘉穂劇場正面


劇場入口の看板

 午後2時。おなかのいっぱいになったところで、嘉穂劇場へ。入場料の300円を支払い、会場前の劇場を見学します。見学の中心は、「奈落」です。細い階段を下り、「花道」の真下を通り、「スッポン」の仕掛けを見送ると、最後は一階「桟敷席」脇の「鳥屋(とや)」に抜けます。地面は土で踏み固められており、空気はつんと冷たくしめっています。薄明りに照らされる様子は、まるで坑道のようでした。砂埃ですすけたレンガを基盤に、放射状に広がる支柱、すりこぎのような12本の「力棒」で舞台をぐるぐると回していたのだそうです(「まわり舞台」)。客席は、桝席、桟敷席、いずれも舞台に向かってゆるやかに傾斜しており、どの席でも満足に観覧出来るようになっていました。小さな劇場には、知恵と技術と、芝居への情熱がたくさん詰まっているようでした。


嘉穂劇場内部


劇場内で佇む

 午後4時。一行、さらに時代を遡り、江戸から続く宿場町、木屋瀬へ。降頻る雨の中、自慢の白壁の街並みを車でするりと見送って、資料館での体験学習です。館内では、笠をかぶり、石臼を挽いたり籠に乗ったり担いだり。また、タッチパネルで解説を受け、ジオラマで再現された当時の街並みや宿場町に見る歴史的建造物に思いを馳せます。

 午後5時。民家を改装したカフェで美味しいお茶をいただきながら、本日の見学会をふりかえります。手練りの月型クッキーと滑り落ちる砂時計。ふっと力の抜けるようなやわらかい時間。嘉穂劇場の動かない滑車、昔ながらの桟敷席、コンピューターの中甦る宿場町。変わらないもの、変わるもの、時の流れをしみじみと感じることができました。


木屋瀬に残る鏝絵


<参考:嘉穂劇場データ>

・規模
客  席    収容人員 1,200人(定員1,400人) 
         1階700人〜800人 2階300〜400人 
舞  台    間口 10間(18.2m) 奥行き 9間(16.4m)
プロセニアム 2.5間(4.5m) 簀の子までの高さ 5間(9.1m)
 
・様式
 木造2階建 入母屋造 (屋根:鉄板葺き) 小屋組 トラス形式
 江戸時代から伝わる歌舞伎様式
客  席    枡席、桟敷席
回り舞台   手動 直径 15.7m 2本の花道(本花道と仮花道)
セリ機構   回り舞台前方中央と花道(現在は撤去)
綱  元    下手側(緞帳のみ電動) 

(おがわ)


<追記>
 嘉穂劇場がある飯塚市は2003年7月19日未明の集中豪雨により大きな被害を受けました。嘉穂劇場も一時は取り壊しの計画が持ち上がるほどの大きな被害を受けましたが、関係者の努力によりほぼ原形を留めた改修工事が行われ、2004年9月17日にはこけら落とし公演が行われます。(堤)


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