騒音性難聴


騒音性難聴

業務に起因する難聴は表のように分類される。
ある職業に従事して業務上の原因で永久的に聴力の低下が起こった場合に職業性難聴というが、騒音性難聴がほとんどである。

職業性難聴
分類原因
災害性難聴(1)爆発のど強大な音響や気圧変化による

(2)頭部の外傷による

(3)高気圧作業の潜水夫病、線函病に伴う

(4)有毒ガスによる工業中毒に伴う

騒音性難聴騒音に長時間暴露され、次第に進行する

(職業性難聴のうち、この難聴がもっとも多い)



騒音性難聴の原因

外耳道・鼓膜・耳小骨など伝音系に障害がある場合を伝音性難聴、蝸牛から聴神経・聴皮質に至るまでの間に障害がある場合を感音性難聴という。

騒音による聴力の低下は、蝸牛内のコルチ器の損傷によるもので、感音性難聴に属する。 騒音の影響は、まずコルチ器の毛細胞(聴細胞)の損傷として現れ、高度の障害では聴神経部にも変化が認められる。

騒音性難聴の現れ方は、暴露される騒音の音圧レベル、周波数成分、衝撃性、暴露時間などによって決まる。音圧レベルが大きいほど、また暴露時間が長いほど聴力の低下は大きい。高い周波数成分の音は低い周波数成分の音より影響が大きく、また衝撃性の音の場合はその音圧波形のピーク値、持続時間及び暴露回数によって影響の程度が決まる。 騒音性難聴は以上の要因によって聴力低下が起こるのであるが、結果的にはいずれも高音域の聴力レベルの低下として現れ、特に4000Hzを中心としたC5dipといわれるオージオグラムとなる。



騒音性難聴の進行

ある程度大きな音を聞いた直後に一時的に聴力が低下することがあり、これを一時的闇値移動(TTS:TemporaryThresholdshift)といい、一般には一時的難聴ということもある。 この聴力低下は一時的であり、まもなく回復する。普通は1-2時間で回復するが、暴露騒音のレベル、個人差にもより、少なくとも10日以内に騒音の暴露前の聴力に戻るものをTTSとする。騒音職場の作業者の場合は作業終了直後と翌朝の最小司聴域値の差をいうことも多い。

当然のこととして音圧レベルが大きければTTSも大きくでる。この一時的闇値移動については詳しく研究されていて、これと次に述べる永久的闇値移動との関係が深く、騒音性難聴を予測する根拠になる。

永久的闇値移動(PTS:PermanentTmesholdShift)は、騒音性難聴ともいわれ、一日の作業で起こる一時的域値移動が十分に回復しないうちに再び騒音暴露を受けることを繰り返すうちに起こってくる。




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