コインシデンス領域

固体の音は空気中と同じ縦波(疎密波)の他に横波(剪断波)、曲げ波(屈曲波)として異なる伝播をする。この曲げ波の音速cBは密度ρ、壁厚hの平面壁において、下式に表すように周波数fの平方根に比例する。

       

したがって、ある周波数f、入射角θ、空気の音速c、λにおいて
       

の関係が満たされるはずである。このとき入射波壁面に沿う音速成分と壁体の曲げ波の速度が一致し、共振と同じような現象となり、壁体の透過損失は著しく下がる。この現象をコインシデンス効果と呼ぶ。
コインシデンス効果は、中高音域で現れるのが普通であるが、室のように音がさまざまな方向から壁面に入射する場合、発生する周波数の予測ができない。しかし、発生が考えられる最低の周波数は、θ=π/2のときである。このときの周波数を臨界周波数fcと呼び、上2式より
       

壁の遮音性能を図るとき、コインシデンス効果が発生する周波数ができるだけ高いことが望ましい。上式のfcから、壁体材料は密度が大きく剛性が少ないもの、また壁が薄いほうが望ましいことがわかる。


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