共振領域より高い周波数では、壁体の質量により振動が支配される領域となる。この領域が質量則領域である。
音の波長に比べて薄い面密度m[kg/m2]の平面壁に、音が垂直に入射すると考える。入射音の角周波数ωで強制振動を起こす。壁を振動させる力は壁両面の音圧差であり、壁の振動速度は入射音の角振動周端数をもつから、これを とおき、壁が一体として振動するときの単位面積について運動式は
(3.02)壁両面の空気の粒子速度は、壁の振動速度に等しいはずであるから、式1.06よりz=ρcとおき、piprpt:入射波、反射波、透過波の音圧瞬時値 ω:2πf
(3.03)上2式から、
(3.04)音が垂直入射するときの透過率をτ0とおけば、
(3.05)垂直入射に対する透過損失TL0はしたがって、
(3.06)
(3.07)これを単層壁の透過損失の質量則といい、TLは質量の対数値で増加する。
(3.08)式(3.03)、(3.09)より透過率τθ、透過損失TLθは、
(3.09)入射角θを0−π/2について平均化すれば、
(3.10)TL0は垂直入射の場合の透過損失式3.08である。入射角0−78°とすれば、さらに単純な下式となる。
(3.11)質量則によれば、壁の透過損失は質量が2倍、あるいは周波数が1オクターブ上がるたびに、20log102=6dB増加するはずであるが、測定結果は5dB程度の増加を示す壁体もある。
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