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2.2 残響室法吸音率の測定方法

完全に拡散された音場では、壁面に対して音があらゆる方向から入射する。室容積V(m3)で残響時間T0秒の残響室に、試料ST(m2)を入れて残響時間T秒になった場合、その試料の残響吸音率αは、

            (2.05)

c:音速 V:室容積

となり、残響時間T,T0を実測すれば吸音率αが求まる。これが残響吸音率である。
この測定では試料としてかなり拾い面積(10m2程度)が必要であるが、現場で用いられて いる構造詳細どおりに実験室に施工するから、残響時間の調整や騒音防止の設計に用いる吸音率は、す べてこの実測値を用いる。また板振動による吸音特性は、この方法以外では求められない。
この測定で最も重要な条件は残響室内の音場が完全拡散されることである。しかし、この条件は殊に試 料を入れた場合に満足されにくく、そのため同じ試料でも異なる残響室での測定値は図2.04のように相 当にばらつくことになる。(牧田他 1968)この差をできるだけ小さくする目的でISO 354やJIS A 1409の規格が 作られている。それらの要点は

1)室容積が最低150m2以上、できるだけ200m3程度が望ましい。
2)試料は102程度を1面(床)に集中し、周辺は壁面と平行させない。
3)拡散板を回転させたり多数吊り下げるなど、拡散手段を講じる。(図2.05)
4)室の形としては、平行壁面を作らないよう不整形が好ましい。また残響時間をできるだけ長くするため、壁面は固く密な仕上げとする。


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