布やフェルト、グラスウール、ロックウールなど繊維材料を透過する音波は、空気分子と繊維との摩擦及び粘性抵抗により音エネルギーを消耗する。音波の粒子速度が大きい位置において音エネルギーの消耗が多く、したがって剛壁から粒子速度の大きいλ/4、3λ/4等の位置に吸音材料があるとき、吸音率が大きくなる。このため、剛壁に直張りした材料は高音になるほど吸音率が大であり、材厚が厚い場合、および剛壁から離して粒子速度が大きい位置にある場合は低音域まで吸音率が上昇する。同様に壁際に吊られたカーテンなども壁との間隔がλ/4、3λ/4等の周波数で大きな吸音率を示す。
多くの多孔性材料は材質が弱く、表面も仕上面に適していないため、表面を有孔板や格子、スリット等で覆う場合が多い。このとき表面材は十分に薄く、開口率を30%以上として多孔質材の吸音特性に影響を与えない配慮が必要である。開口率が小さなとき、2.1.3の共鳴吸音機構の特性が現れる。
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