(財)トステム建材産業振興財団平成13年度(第10回)助成
住宅における建材リサイクルのためのエネルギー消費に関する調査研究
北九州市立大学国際環境工学部
助教授 高 偉俊
1.本研究の背景と目的
現在、解体された建設物から排出される廃棄物のリサイクルが行われつつある。材料によっては、技術的に難しいものもあるが、その解決へむけて研究も積極的に行われている。いずれ解体材を材料とした建築部材が製造されると思われる。
解体材のリサイクルが積極的に行われている背景には、部材によっては新規の製造時よりもリサイクル材の方が安価となるからと思われる。つまり、解体材を利用して製造された建築部材の中には、製造時よりもエネルギー消費量の少ない材がある可能性がある。建設産業は環境に多大な影響を与えており環境負荷の低減の為には、解体材のリサイクルに必要なエネルギー量を把握し、よりエネルギー消費量の少ないリサイクル材の使用することが必要であると考える。
そこで、本研究は解体材を利用して建築部材を製造する時のエネルギー消費量を算定し、リサイクル材を使用する事によって、住宅の部材製造に消費されるエネルギー量が低減できることを実証することを目的とする。
2.研究の方法及び計画
本研究では地球環境の視点から建材リサイクルのためのエネルギー消費を評価基準として選択し、解体材を利用して住宅部材を製造する時のエネルギー消費量を算定する手法について提案することを目的とする。この算定方法を検証するために、中間処理場、再生建材のメーカへヒアリング及びアンケート調査を行い、また実際の住宅についてケーススタディを行い、住宅部材にリサイクル材を使用することによって、削減されるエネルギー消費量や資源量について試算する。具体的に先ず従来研究を行い、解体材を再生するためのエネルギー消費モデルを作成する。再生時に使用する処理機械とその性能を調査し、建材リサイクルのための再生エネルギー消費量の理論計算値を求める。計算値を検証するために解体材の再資源化処理及び再生材料の2次加工にかかるエネルギー消費量について中間処理場及び再生部材の製造工場へ調査を行う。その結果に基づいて、検証を行い、住宅における建材リサイクルのためのライフサイクルエネルギー消費の評価手法を確立する。最後にケーススタディを行い、提案された手法による省エネルギー・省資源の効果を評価する。本研究の最終成果は省資源だけではなく、省エネルギー等にも大きな役割を果せる。新たな住宅リサイクル市場の促進に寄与できる。
3.研究内容
3.1. 建設廃棄物のリサイクル現状に関する調査
本研究のテーマとして挙げている「建設廃棄物」は、産業廃棄物に含まれる。その排出量は年間約8,500万トンにも達し、全産業廃棄物の約20%を占める程である。さらに最終処分される廃棄物のうち、44%を建設廃棄物が占めているのも現状で、今後、同じように最終処分される建設廃棄物が発生し続けると、その発生量は平成12年度の段階で約8,500万トンであったのが、平成17年度に1億トンに達する可能性がある。
建設廃棄物をはじめとする産業廃棄物が将来増加することは、もはや確実なものとなっている。このような現状の中、さまざまな企業が産業廃棄物のリサイクル事業を行ない始めた。
産業廃棄物の増加という問題と平衡し、我が国においてはもう1つ大きな問題がある。それは産業廃棄物の不法投棄である。平成12年度の段階で産業廃棄物の不法投棄量は、年間40.3万t4)にも達している。近年は不法投棄件数なども減少傾向にあると考えられるが、平成10年度までは年々その件数も増え続け、廃棄物の処理に関して大きな問題を作ることとなった。産業廃棄物全体における不法投棄の現状は上記のとおりであるが、これらの大量な不法投棄量のうち、その約60%は建設廃棄物である。これらの建設廃棄物は、ほとんどが建設現場あるいは解体現場から排出されたゴミで、処分費のコストダウンを図った一部の業者の悪質な行為が、このような結果をもたらしている。また、建設廃棄物の不法投棄件数に関しては、投棄量の割合を上回るほどで、全体の67%を占めており、建設業界の見直しをせざるを得ない結果となっている。
今日、我が国ではこれらの産業廃棄物をどうリサイクルするかが最重要課題となっており、特に建設関連の廃棄物に関しては、平成14年5月30日に建設リサイクル法も施行された程で、廃棄物のリサイクルが盛んに行われ始めたことを物語っている。これに伴い、建築解体の分野でも解体の手法が大きく変わってきていると考えられる。
3.2. 住宅部材の解体及び再生の現状に関する調査
住宅解体材の現状を把握するためにハウスメーカー3社、中間処理場7社及び再生工場5社へヒアリング調査を行った。ヒアリング調査により判明した現状の問題点は以下のとおりである。
@住宅部材が多種類の材料で構成されること
住宅部材の中には、多種類の材科が組み合わされた部材が多いため、再生時に材科毎に分別することが難しい。これらの部材は、分別の費用が高く、混合廃棄物として処理されている。具体的には、石膏ボードに接着されているビニルクロスがこれにあたる。
A住宅部材のメーカーが再生する義務を負わないこと
建材メーカーは、自社の製品に対する再生義務を負いない。しかし某メー力一によると、今後、「廃プラスチック」、「繊維板」、「塩ビ樹脂」、「FRP」で構成される製品については、経済産業省の定めるリサイクル法の対象となる可能性が大きい。
B不透明な排出事業者責任
解体材は、解体業者→中間処理業者→再生工場或いは最終処分へと流れます。解体コストは、住宅居住者の負担であり、ハウスメーカーは解体業者に委託しているのが現状である。包装容器のリサイクル法の流れを見ると、製造物責任が原則となっており、建材の製造メー力一と建設業者にそれぞれ責任が分かれると思われる。
しかし、住宅部材は様々なメーカーのものが使用されており、それぞれに責任を負わせるには、デポジット制などの検討が考えられる。住宅居住者は、ハウスメーカーとの契約であるため、解体コストを不満とすると思う。住宅メーカーの競争が激しくなれば、ハウスメーカーの営業マンが「弊杜では、解体コストはサービス科金となっております。」と言うのも十分に考えられる。
解体材は、居住者の私有財産であるため、どのように処理するのかは、ハウスメーカーが委託を受け、決定を下す。解体後の処理方法には、リサイクルから最終処分まで様々な技術があるが、各住宅の立地条件、各解体材の市場によって、最も安価な方法で処理されているのが現状である。
Cどの廃棄物をどのように処理すればよいのか?
主な建設廃棄物、汚泥、コンクリートガラ、木くず、金属くずなどは再生可能であり、
再生率の目標値が設定されている。一方住宅解体材は、複合材などが多く異物の混入率が大きいため、建築材料メーカーは責任を持って再生するか、最終処分にかかる費用を支払うべき。問題は、解体方法によって分別の難易度、再生率が上下する事である。解体材の適正な処埋へ向けて実施するべき事は、@解体方法のマニユアル化、Aこの解体方法に基づいた場合の混合廃棄物の種類及び発生量、G混合廃棄物を構成する住宅部材の量に基づいて、建材メーカーが支払うべき費用を決定すること。
3.3. 再生方法を評価する基準としてエネルギー消費量を選択する理由
○廃棄物は100%再生すればよいのだろうか?
産業廃棄物の再生を促すために、メーカーは自社製品を全て再生する義務があるという法律を作るのは簡単であるが、間題は、分別の費用を誰が負担するのかということだ。廃棄物を100%再生するには、経済性を無視した分別費用がかかる。この為、様々な材料を複合した製品の値段が高くなってしまうということが予想される。
○どれくらい再生すればよいのだろうか?
そもそも廃棄物の「適正」な処理とは何だろうか?その「適正」な基準を定めることが必要だ。学術論文としては、廃棄物は100%再生するという不変不朽の原理原則を述べるべき。しかし、より現実的な意味を持たせるために、本研究では廃棄物を再生する社会を成立させる条件を考え、そのための条件を「適正」な基準として捉える。
○再生方法を評価する基準としてエネルギー消費量を選択する理由
産業廃棄物を再生する社会を成立させるためには、〈再生にかかる費用〉が、〈最終処分+節約される材料分の経済的価値〉より少なくなることが必須条件であると考える。この場合の評価基準は経済価値である。しかし経済価値を評価基準とすると、経済価値の低い物質については再生しなくてもよいことになる。本研究では、より公平な指標としてエネルギー消費量を選定した。廃棄物の再生にかかるエネルギー消費量は、燃料などの費用に比例し、消費及び節約される物質はその製造にかかるエネルギー消費量に換算され評価される
3.4. 建築材料の再生方法の設定
新規部材と住宅解体材を利用した再生部材との製造フローに関しては、素材から新規の住宅部材を製造するまでの工程は、一次加工と二次加工とに分けられる。素材を建築材料にする加工を一次加工といい、建築材料から住宅部材にする加工を二次加工という。住宅の再生材料は、住宅を解体してから、再資源化され、住宅部材の材料として再び利用できる材料を指す。解体材から住宅部材を製造することを再生といい、その方法を再生部材までの加工状況によって、再使用、再利用、再生利用の3つに分類した。再使用は、解体された材料の形状・性質を変化させること無く、再び使用する方法を指す。再利用は、解体材を収集・分別した後、建築部材を構成する材料として加工する方法を指す。再生利用は、解体材を収集・分別した後、建築材料を構成する素材として加工する方法を指す。
3.5. 住宅部材の再生エネルギー消費量の算定方法
新規の住宅部材の製造に消費されるエネルギー量は、素材を造るためのエネルギー消費量(Es)、一次加工エネルギー消費量(E1)と二次加工エネルギー消費量(E2)の和として求められる。
解体に必要なエネルギー量は解体エネルギー消費量(Ek)とし、解体材から再生材料までに必要なエネルギーは再資源化エネルギー(Ea)と定義した。再生時の住宅部材に消費されるエネルギー量は、解体エネルギー消費量(Ek)、再資源化エネルギー消費量(Ea)と二次加工のエネルギー消費量(E2)の和となり、これを住宅部材再生エネルギー消費量(Ec)と定義する。
住宅を解体する際には、機械解体と手壊しの二通りがあり、それぞれ労働力と燃料が消費されているが、その正確な値が現状では明らかではないため、機械解体の時に関してはそのエネルギー消費量の値の試算を行った。
解体エネルギー消費量(Ek)は解体時に使用する重機のエネルギー消費量(Ew)と解体材を搬出する時の輸送エネルギー消費量(Et)との和により求める。(財)日本木造総合情報センター「木質系部材等地球環境影響調査報告書」(93年)では機械解体時に単位床面積あたりの重機のエネルギー消費量は約28,000MJ/uと発表され、本文ではこれを原単位として引用した。従って、重機のエネルギー消費量は
Ew=28,000×A (MJ) (1)
A : 住宅延べ床面積(u)
輸送エネルギー消費量の概算値は床面積あたりの解体材の排出量及び輸送距離から求めた。搬出の輸送距離を100kmと仮定した。従って
Qw : 解体材の排出原単位(kg/u)
W : 搬出車両の積載量(kg/台)
Ew : 搬出車両のエネルギー消費量(MJ/km)
L : 輸送距離(km)
躯体の再使用時は、全て手壊しにより解体すると仮定し、人力エネルギーは無視した。従って解体エネルギー消費量(Ek)は解体材の総重量がMaであるときには、
再資源化エネルギー消費量(Ea)は、中間処理の機械とその他の処理設備の単位処理能力あたりのエネルギー消費量から求めた。
Q : 機械(設備)の出力 (kWh)
P : 機械(設備)の処理能力(kg)
ただし、鋼材については、産業連関表を参考にして、粗鋼(電気炉)の製造エネルギー消費量を計算した。アルミサッシについては、再生地金の製造エネルギー消費量の値を参考にした。主な解体材を典型な処理手順で再生する場合の再資源化エネルギー消費量は表3に示す。例えば、コンクリート再生材料を作るためには、一次破碎装置で破砕して、そして選別を行ない、一定以上の大きさのもの二次破砕装置にかけて再び破砕を行ない、最終的に再生材料として再生粗骨材になる。この工程に必要な機械は一次破砕用のジョークラッシャと二次破砕用のインパクトクラッシャと振動震い機、ベルトコンベア等であり、これらの機械の単位処理能力あたりのエネルギー消費量の総和から再資源化エネルギー消費量を求めた。その他の材料の再資源化エネルギー消費量は、同じ手法で求められる。
再生時の二次加工に消費されるエネルギー量は加工に必要な燃料や電力の使用量及び再生材料の使用量から求める。(財)国土開発技術研究センター「省資源・省エネルギー型国土建設技術の開発」報告書(95年)では、部材ごとに二次加工の必要な電力、燃料原単位及び各構成材料の使用重量が発表され、本文では、それらをベースに二次加工エネルギー消費量(E2)を計算した。
従って、住宅再生部材Cの住宅部材再生エネルギー消費量Ecは以下の式によって求められる。
Ec =Σ( Es + E1 )・mb +Σ(Ek+Ea)・ma + E2 (MJ/kg) (5)
ma:1sの再生部材Cに必要な材料aの重量 (kg/kg)
mb:1sの再生部材Cに必要な材料bの重量(kg/kg)
Es:材料bに必要な素材をつくる為のエネルギー消費量(MJ/s)
E1:素材から新規材料bをつくるための一次加工エネルギー消費量(MJ/s)
Ek:解体エネルギー量(MJ/s)
Ea:解体材から再生材料aまでの再資源化エネルギー消費量 (MJ/s)
E2:再生部材Cの1sあたりに必要な二次加工エネルギー消費量(MJ/s)
3.6. 住宅部材の再生エネルギー消費量の算定結果
式(5)を使用して各住宅解体材の再生時のエネルギー消費量を算定した。木材については再使用材についても算定した。鋼材は全て粗鋼(高炉)を材料として製造されたものとして計算している。
その結果として、解体材から木質ボードへの再生利用では、原料となる製材の製造工程が省かれ、再生エネルギー消費量の削減率は集成材の7%からパーティクルボードの32%まで、平均で22%になっている
。逆にコンクリートは、再生エネルギー消費量が5%増加する。石膏ボードについては、解体材を細密な粉状に粉砕するため、新規の製造エネルギー量より48%増加した。鋼材については、再生エネルギー消費量は約40%削減された。アルミニウムは80%強の再生エネルギー消費量が削減された。
3.7. 住宅についてのケーススタディ
(1) 各住宅モデルの設定
異なる工法の住宅について再生部材を可能な限り利用した場合、それらの住宅部材を製造供給するためのエネルギー消費を、木造軸組工法、枠組壁工法、軽量鉄骨造の住宅で比較した。「家庭生活のライフサイクルエネルギー」では木造軸組工法、枠組壁工法、軽量鉄骨造の住宅モデルの仕様を示している。本文では住宅を構成する部材量はそれらを参考とした。
3つの工法の仕上げ材料に大きな差が見られないものの枠組壁構法が20%軽くなっている。3つの工法の部材使用重量を比較すると、基礎に使用されている部材量が木造軸組では42.5t、枠組壁工法では24.3t、軽量鉄骨造では40.8tとなっている。その理由としては、枠組壁工法の延べ床面積がその他の工法と比べて少ないため、布基礎に使用されるコンクリートの量が少ないからであると考えられる。
木造軸組工法と軽量鉄骨造については、躯体を再使用し、再生材料を利用したときのエネルギー量についても算定した。各工法に使用する再生部材とその他の新規材の割合を重量比で設定した。木造軸組工法の場合は再生部材のリサイクル率は67%でもっとも高い設定になっている。枠組壁工法と軽量鉄骨造は約56%のリサイクル率となっている。再生部材の利用割合の内訳を見ると、三つケースどちらでもコンクリート部材は高い利用率を示している。木造軸組工法の方では、再使用木材17%、枠組壁工法の方では石膏ボード13%、軽量鉄骨造工法では鋼材・鋼板12%で、コンクリートにつづいて、高い割合になっている。
(2) 各工法における部材製造のエネルギー消費量の比較
解体材を利用した住宅の部材製造時のエネルギー消費量を、前節に得られた建築材料の再生にかかるエネルギー量を用いて計算を行った。
モデル住宅の延べ床面積が異なるため、単位面積当たりのエネルギー消費量として算定した。資源を最大限に再生する条件で計算した。その中に枠組壁工法に関しては、接着剤が多く使うため、再使用しにくいので、新規製造及び再生材料使用の二つケースの計算を行った。
結果として、石骨ボードやコンクリートを再生するため、多少エネルギーが増加しているが、住宅全体の製造エネルギーは低減している。木造軸組工法では、外部仕上げ、枠組壁工法と軽量鉄骨造では、外部仕上げと躯体に製造エネルギーが最も顕著な低減を見せている。また、三工法ともアルミサッシ、鉄鋼材等のエネルギー削減率最も高い。
木造軸組工法については削減されたエネルギー量の内、再生利用したパーティクルボードが5%、建具のアルミサッシが30%、再利用された建設用金物12%、再生利用されたハードボードが8%を占めている。
枠組壁工法については、再利用された建具のアルミサッシが全体の68%、再生利用された枠組材のウェファーボードやパーティクルボードが28%を占めている。
軽量鉄骨造については、鋼材が38%、建設用金物が72%、ハードボードが9%、を占めている。
住宅全体の削減率について、木造軸組工法では、再生利用と再利用によるエネルギー量の削減率が約3%であるが、再生利用、再利用や躯体の再使用をした場合は、部材の製造にかかるエネルギー消費量を17%削減することができる。枠組壁工法では、再生利用と再利用によるエネルギーの削減率が10%となっている。軽量鉄骨造では、再生利用と再利用により削減されるエネルギー量が約13%であり、躯体を再使用しその他の再生材料も利用する場合は、合計約4分の1にも削減することができる。
再生材料を利用することによって、各住宅の資材量と部材製造エネルギー量がどのように変化するかを調べた。枠組壁工法では、壁パネルを再使用することが不可能であるため、再使用時の値は含まれていない。横軸に単位面積あたりの部材の使用重量をとり、縦軸に単位面積あたりのエネルギー消費量をとっている。3つの住宅を比較すると、いずれも大きな省資源及び省エネルギー効果が見られるが、軽量鉄骨造の削減率がもっとも高いといえる。
(3) ケーススタディの結果
本研究では、住宅における省資源、省エネルギーの視点から、住宅解体のとき、解体材を再生するためのエネルギー消費量に関する計算方法を提示し、またそれを用いて、3つのモデル住宅に対し、ケーススタディを行った。結果として、多くの解体材の再生に必要なエネルギー量は新規製造より少ない。その削減度合いはアルミニウム(80%)、鉄鋼材(48%)、木材(7-32%)の順になっている。また、再生材料を使ったモデル住宅における部材製造エネルギーの計算では、大きな省資源及び省エネルギー効果が見られた。木造軸組工法の方では、リサイクル率67%に対して、約17%、枠組壁工法の方ではリサイクル率56%に対して、約10%の、軽量鉄骨造工法ではリサイクル率55%に対して、約25%のエネルギー低減ができる。
4.研究成果
本研究の成果として以下のようにまとめて記す。
@住宅部材の解体及び再生の現状を調査より明らかにすること
我が国ではこれらの産業廃棄物をどうリサイクルするかが最重要課題となっており、特に建設関連の廃棄物に関しては、平成14年5月30日に建設リサイクル法も施行された程で、廃棄物のリサイクルが盛んに行われ始めたことを物語っている。これに伴い、建築解体の分野でも解体の手法が大きく変わってきていると考えられる。
住宅解体材の現状を把握するためにハウスメーカー3社、中間処理場7社及び再生工場5社へヒアリング調査を行った。ヒアリング調査により現状の問題点を判明した
A再生方法を評価する基準としてエネルギー消費量を提案したこと
経済価値を評価基準とすると、経済価値の低い物質については再生しなくてもよいことになる。本研究では、より公平な指標としてエネルギー消費量を選定した。廃棄物の再生にかかるエネルギー消費量は、燃料などの費用に比例し、消費及び節約される物質はその製造にかかるエネルギー消費量に換算され評価される。
B建築材料の再生方法を新たに設定したこと
再生方法を再使用、再利用、再生利用の3つに分類し、再生方法を整理した。再使用は、解体された材料の形状・性質を変化させること無く、再び使用する方法を指す。再利用は、解体材を収集・分別した後、建築部材を構成する材料として加工する方法を指す。再生利用は、解体材を収集・分別した後、建築材料を構成する素材として加工する方法を指す。
C住宅部材の再生エネルギー消費量の算定方法を確立したこと
再生時の住宅部材に消費されるエネルギー量は、解体エネルギー消費量、再資源化エネルギー消費量と二次加工のエネルギー消費量の和となり、これを住宅部材再生エネルギー消費量と定義した。
本研究では、解体時に使用する重機のエネルギー消費量と解体材を搬出する時の輸送エネルギー消費量を計算するモデルを提案した。さらに、中間処理の機械とその他の処理設備の単位処理能力あたりのエネルギー消費量から再資源化エネルギー消費量を求める方法を確立した。
D住宅リサイクルにおける省資源、省エネルギーの評価手法を提示したこと
異なる工法の住宅について再生部材を可能な限り利用した場合、それらの住宅部材を製造供給するためのエネルギー消費を計算し、省資源、省エネルギーの視点からその総合評価を行った。
5.今後の展望
本研究では、住宅における省資源、省エネルギーの視点から、住宅解体のとき、解体材を再生するためのエネルギー消費量に関する計算方法を提示し、またそれを用いて、実際の住宅に対し、ケーススタディを行った。本研究の最終成果として、建材リサイクルのためのエネルギー消費の評価手法を開発し、今後日本の循環型社会の構築及び建築環境産業の技術開発のための指針と基準になるものと期待できよう。さらに、開発した評価システムをベースにし、さらに多くの民間企業を調査し、実用化及び普及のための技術開発を行うべきだと思う。その効果をケーススタディに通じて実証していく必要性もある。リサイクルを行うことで、省資源だけではなく、省エネルギー等にも大きな役割を果せる。省エネルギーとCO2の削減効果が大きく期待できると思われる。新たな住宅リサイクル市場の促進に寄与できると思う。
6.研究発表の実績及び予定
一年間の研究は短いではあるが、今後本研究で開発した評価手法及びデータベースを基づき、実用のできるデータベースや評価ソフトを開発し、関係庁省及び建設業界の関係者に配布し、住宅建材リサイクルの推進を力になりたいと思う。
研究成果の一部は現在2003年度日本建築学会大会にて発表する予定である。
7.謝辞
財団法人トステム建材産業振興財団は住宅リサイクルの重要性を認め、本研究助成を下さい、一年間充実した研究ができることを感謝する。
住宅解体現場、中間処理場及び再生工場へ調査に出向いた際に、快くご協力頂いた方々、共同研究で色々とアドバイスを頂いた九州産業大学西田先生、北山先生等にも感謝の意を表したいと思う。