隣室への伝播
 拡散音場を仮定できる室Aと室Bが、図のように間仕切壁を介して接しているものとする.ここで音響出力W(パワーレベル:PWL) の騒音源が室Aにある時の室Bの音圧レベルを考える.
 この場合,騒音源から放射された音響エネルギーが室Aに拡散し,この拡散した音響エネルギーが間仕切壁を透過し,室Bに拡散することになる.

   いま,間仕切壁の透過損失をTL(透過率τ),面積をS,室Aと室Bの吸音力,音圧レベルおよび音響エネルギー密度をそれぞれ,AA, SPLA,EA,AB,SPLB,EBとする.またIは室A側の間仕切壁面上の音の強さ,W'は間仕切壁面を透過する総音響エネルギー,cは音速とする.


 まず室Aの音響エネルギー密度EAは,室Aが拡散音場であることから,

  EA=4W/(cAA
となる.ここで間仕切壁面上の音の強さIは,

  I=EAc/4 =W/AA
であり,また間仕切壁面を透過する総音響エネルギーW'は,

  W'=IτS=WτS/AA
となる.
 室Bも拡散音場であることから,W'と室Bの音響エネルギー密度EBの間には

  EB=4W'/(cAB)= 4WτS/(cAAB
が成立する.この室Bの音響エネルギー密度EBに音速cを乗じ,デシベル値に変換すると室Bの音圧レベルになる.したがって

  SPLB=10log10(EBc/10-12)
    =10log10{4WτS/(10-12AB)}
    =10log10(W/10-12)+10log104−10log10(1/τ)+10log10{S/(AAB)}
    =PWL+6−TL+10log10{S/(AAB)}
となる.


 騒音の伝播へ

UP DATE 3/14/1997

久留米工業大学工学部建築設備工学科
Copyright (c) 1997 Chiaki Haruta
haruta@cc.kurume-it.ac.jp