周波数分析による測定とその評価

歴史背景
 1800年代末から1900年代初めにかけての電話の実用化、及び自動車・航空機などの厳しい騒音源の出現によって、騒音下における会話伝達の必要性が生じ、室内騒音の評価に関する研究が開始された。

 1940年代後半に物理計測値から会話の明瞭度を求めたいという要求により、French&Steinbergによって,AI( 会話伝達の周波数特性と、騒音レベルから明瞭度を予測する)が開発された。室内騒音の評価法は、このAIを基礎としている。

 ここで紹介するのは、ノイジネスに関する評価法であるNC曲線を利用した騒音評価の方法である。



NC値の計算方法


  1. 対象騒音をオクターブ分析してバンドレベル(dB)を求める。  
  2. バンドレベルをNC曲線にプロットして、最大のNC数を求める。
  3. NC値の決定
  4. 得られたNC値を表7.1,表7.2に基づいて判定する。

表7.1 各種室に対するNC推奨値
室の種類NC数
放送スタジオNC15〜20
音楽堂NC15〜20
劇場(500席、拡声装置なし)NC20〜25
音楽室NC20〜25
教室(拡声装置なし)NC25
テレビスタジオNC25
アパート、ホテルNC25〜30
会議場(拡声装置付)NC25〜30
家庭(寝室)NC25〜30
映画館NC30
病院NC30
教会NC30
裁判所NC30
図書館NC30
料理店NC45
運動競技場(拡声装置付)NC50

表 7.2 NC数による室内騒音の評価基準
NC数騒音の状態適用例
NC20〜30・非常に静か
・電話に支障なし
・大会議可能
重役室、大会議室
NC30〜35・静か
・15ftのテーブルで会議可能
・10〜30ft離れて普通の声で会話可能
専用室、応接室、小会議室
NC35〜40・6〜8ftのテーブルで会話可能
・電話支障なし
・10〜30ft離れて普通の声で会話可能
中事務室、工事事務室
NC40〜50・4〜5ftのテーブルで会議可能
・電話やや困難
・普通の声で3〜6ft ,やや大声で
6〜12ft離れて会話可能
大きな技師室,製図室
NC50〜55・2〜3人以下の会議は可能
・電話やや困難
・普通の声で1〜2ft,やや大声で
3〜6ft離れて会話可能
タイプ室、計算機室
NC55以上・非常にうるさい
・事務室に不適
・電話使用困難
適用なし


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Faculty of Architecture,Departmant of Engineering,Kumamoto University.
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