3.4.1 設計施工法
遮音構造選定の要点
遮音構造を決めるには、厳密にいえば、遮音設計作業が必要となる。つまり、外部の騒音の状態と、それがどこまで許容できるかによって、必要な遮音構造が決まるのである。ここでは、それ以前の問題として、遮音構造を選定したり、施工したりするときの要点をまとめてみた。
- 1)通気性のない材料を選ぶこと
- ポーラスで通気性があったり、隙間がある材料は、それだけで、遮音材料としては失格である。日常接する材料で、通気性があるため、遮音材料として好ましくないものの代表は、グラスウールなどの多孔質型材料、コンクリートブロックなどである。
- 2)重い材料であること
- 重いー厳密にいうと、単位面積あたりの重さ(Kg/m2)が大きいーほど遮音性能は大きくなる。
- 3)柔らかい材料であること
- 板の振動や透過損失の低下を少なくするためには、剛性の小さく柔らかい材料が望ましい。例をあげればゴム板、鉛板などおである。しかし、これらの材料は柔らかすぎて、それ自体では建築材料になり得ないので、ベニヤ板などと張り合わせて使用する必要がある。
遮音構造の施工
遮音構造の遮音性能は、適格な材料を選定し、正しい施工を行うことによってはじめて実現できる。施工上の要点はつじの2点である。
- 1)隙間のない工法をとる
- 1枚のパネルの大きさは、普通、910×1820mm程度であるから、これを張り合わせて、壁をつくる場合、パネルとパネルの間、パネルと柱との間などに隙間が生じる。このような隙間をできるだけ少なくする工法をとる必要がある。スタジオの遮音壁などの施工で広く用いられている工法は乱張り、あるいは目違いばりといわれる工法で、これは2枚のパネルを目地があわないように、裏と表との継目が重ならないようにして張り合わせる工法である。なお、大きな隙間に対しては、パテを埋めたり、テープを張ったりする必要がある。
普通のコンクリートブロックは、通気性があって、このままでは、遮音構造になり得ない。遮音の目的に使用する場合は少なくとも片側モルタル、あるいはプラスターなどをぬる必要がある。
- 2)多重壁において音の橋が生じないようにする。
- 高度の遮音性能が要求されたときには、振動的に独立した二重壁を用いるのがよい。このような構造は施工の段階で、一度は剛に連結し、防振ゴムを取付け、その後でその支持棒を取除くといった工法がとられる。この支持棒がついたままだと、せっかくの防振二重構造も、その効果はなくなる。この2つの壁を連結する支持棒などが音の橋となる。このように遮音構造の施工においては、一般建築の施工の常識とは別の注意が必要である。
|